大宰府天満宮のどんかん祭り(神幸式大祭)は千年の歴史を感じる平安絵巻 / Donkan Matsuri (Jinkoushiki Taisai) of Dazaifu Tenmangu, The festival that feels 1000 years of history like a picture of the Heian period
福岡県に移住して来て、親戚が遊びに来るたびに、リクエストに応えて何度か大宰府天満宮を訪ねました。福岡に観光に来てここに行かない外国人は、日本の文化に興味のない人なのかも知れません。その圧倒的な神々しさは、日本ならではの美しさと威厳があります。
大宰府天満宮は、京都から無実の罪で大宰府に送られた、菅原道真(すがわらのみちざね)という公家(貴族)を祀った神社です。
外国人的に簡潔に言えば、天皇の右腕、一番の側近(シンクタンクで助言者)だったのに、権力闘争でライバルに陥れられて、左遷された無念の人。その後天皇やそのライバルに、たたりのように不幸な出来事が次々と起こったために、恐れを抱きました。それで、道真公の魂を慰め、天皇家の繁栄を願う為に存在しているのが、大宰府天満宮という事になります。
その大宰府天満宮のすぐ近くで生まれ育ったという友人が、素晴らしい神事が大宰府天満宮であると、どんかん祭り(神幸式大祭)に誘ってくれました。
西暦1101年から、毎年秋分の日の前後に、この神事は行われてきました。秋分の前日の9月22日に、お下りの儀という儀式があります。
これは、大宰府天満宮に祀られている菅原道真の霊を、当時住んでいた榎寺(榎社-えのきしゃ)に運ぶという儀式です。
今年は台風で、行列は中止になりましたが、菅原道真の御霊は、密かに榎寺に運ばれたそうです。
お上りの儀は、その次の日の9月23日に、当時の住居で一夜を過ごした道真の御霊が、大宰府天満宮に帰っていく儀式です。
どんかん祭りといわれているのは、行列にある太鼓がドンと鳴った後に、鐘がカーンとなるので、そう呼ばれているそうです。
行列の最初は、稚児と呼ばれる可愛らしい子供達の行列です。
花車には秋の野の花が飾られて、趣があります。
この神輿(ごしんよ)で、道真公の御神霊(ごしんれい)を運びます。
牛車には、道真公をおもてなしするお供えなどが、積まれているそうです。
道真公の御霊は、ご本殿にお帰りになる前に、大宰府天満宮の境内にある浮殿に立ち寄ります。ここで、お供え物を献上されたり、舞踊が奉納されたりします。
日本の古代の音楽は、神秘的で心が落ち着きます。
大宰府天満宮の門前で商売を営んでいた、六座(今でいうロータリークラブのような感じでしょうか)と呼ばれる人達が演奏していて、竹の曲という楽曲で、商売繁盛の願いを込めて奉納しているそうです。
歴史の重みを感じる、美しく幻想的な踊りが、千年前にタイムスリップしたように感じさせてくれます。
参道の行列は、たくさんの人が見物していましたが、この浮殿での神事は、地元の人以外には、あまり知られていないようでした。
おかげでゆっくり楽しむことができましたが、少女たちの美しいたたずまいは、見逃すにはもったいないので、機会があれば、見学することをおすすめします。
そして、夕暮れ時になると、また神輿に乗せて、幻想的な行列が太鼓橋を通って、夕闇の中を本殿へ帰って行きます。
行事の合間に、快く記念撮影に応じていただき、ありがとうございました。